「よくわかる現代魔法」

よくわかる現代魔法(3)―ゴーストスクリプト・フォー・ウィザーズ (集英社スーパーダッシュ文庫)
よくわかる現代魔法―ガーベージコレクター (集英社スーパーダッシュ文庫)
よくわかる現代魔法 1 new edition (スーパーダッシュ文庫)

自分を変えたい!ドジでお子さま体型のこよみは、最強の魔法使い美鎖から現代魔法を学ぶことに。でも、こよみの魔法は変に発動してしまい…、異世界の魔物まであらわれた!?その頃、ネットワーク魔術により各地で異変がおき始める。銀髪の天才魔法少女・弓子やコンピューター女子高生の嘉穂まで巻き込んで、こよみの活躍?がはじまる。


桜坂洋の作品は「ALL YOU NEED IS KILL」と「スラムオンライン」を読んでいて、きちんと面白い作品を書く作家さんであるとは分かっているんです。でも、このシリーズにはなかなか手が出なかった…。だってこの表紙ですからw まぁ、涼宮ハルヒシリーズ読んでおいていまさら何を、という感じですが、やっぱり手を出しにくいのも事実なわけでして。しかし今回、「new edition」(著者によるリライト版)として発売されているのを見つけ、ついに購入しました(ただし、既刊5冊をすべて書き直すわけではなくて、1巻だけの書き直しということです。騙された気分…)。


で、読んでみると、表紙だけでなくキャラクターもすごいということがよく分かったw だいたいこんな感じ。


・森下こよみ…ドジでお子様体型の女子高生。
・姉原美鎖…眼鏡でキレイなお姉さん。
・一ノ瀬弓子クリスティーナ…銀髪に紫の瞳の美少女。
・坂崎嘉穂…こよみの同級生。2ちゃん用語を駆使するPCマニア。


なんというか、見事にラノベ的なテンプレですw ラノベの「公式な」対象年齢から多少外れる私としては、さすがにちょっと厳しいかなぁと思って読み始めましたが…。


結果、現在は3巻まで読了していますw 「現代魔法=プログラム」というアイデアが面白いんですよね。「古典魔法」では、人間の筋肉に流れる微弱電流を使って発動させていたのが、「現代魔法」ではPCなどのCPUの電気信号をプログラムで操って発動できるようになった。それゆえに、現代魔法はプログラムを複製することで大掛かりな魔法を組むこともできる…とか、こういうSF的な設定はやっぱり面白い。SFを読みなれている方からみれば単純な発想に見えるのかもしれませんが、私などからすればこの設定だけで十分面白いのです。なんせ、プログラムが魔法にしか見えないし、SEは魔法使いにしか見えないというのは、実感としてありますからねぇw


また、ストーリーの中で「現代魔法=プログラム」というアイデアがしっかりと生きています。1巻での「事件」に悪用されたソフトウェアがアンチウィルスソフトだった理由などについては、なるほどなぁと思いました。ネタバレになるのであえて書きませんが、現代魔法という設定があるからこそ、アンチウィルスソフトが脅威になりえたわけです。このように、思いついた設定を生かした上で、しっかりとストーリーが練られている点は評価したいですね。昔に読んだ「都立水商!」(室積 光)なんかは、水商売を教える高校があるという設定が面白いだけで、設定が全然ストーリーに生かされていなかったですし…。


そんなわけで、1巻はとても楽しめる作品でした(まぁ、オチがあれでよいかはともかくとしてw)。ちなみに、2巻は正直イマイチで、3巻はまあ楽しめました。噂では5巻までで一つのお話ということなので、とりあえずは既刊5巻はすべて読むつもりです。…それにしても、私の本棚は順調にひどいことになってきてますなぁ…w