2006-01-01から1年間の記事一覧

2006年下半期読んだ本 ベスト5

今年ももうすぐ終わりということで,この下半期に読んだ本のうち, 特に面白かった本のベスト5を紹介します。 いや,2006年全体でやればよいのですが, 上半期のものは読んでからちょっと時間がたってしまっているので, 並べて評価するのは難しいかなぁと。…

「神は沈黙せず」 山本弘

幼い頃に理不尽な災害で両親を失って以来、 家族で信仰していた神に不信感を抱くようになった和久優歌。 やがてフリーライターとして活動を始めた彼女はUFOカルトへ潜入取材中、 空からボルトの雨が降るという超常現象に遭遇する。 しかしこれは、「神」の意…

「GOSICKⅢ 青い薔薇の下で」 桜庭一樹

険しい山々に囲まれた聖マルグリット学園。 その広大な敷地の奥の奥に、迷路庭園をくぐりぬけた者だけがたどりつく小さな家がある。 その童話の世界のような場所で囚われの妖精―少女・ヴィクトリカは寂しく、想いをめぐらしていた。 まだ見ぬ書物について。…

「よつばと!6」 あずまきよひこ

「よつばと!」の6巻は,12月16日の発売日に即購入しました。 いやもう,文字通り待ちに待った,という感じです。 月刊誌連載の作品だから,なかなか新刊でないので…。 そしていつもどおり,面白かった! 6巻は全体的に「自転車」の話でした。 あと,いつも…

「夜市」 恒川光太郎

大学生のいずみは、高校時代の同級生・裕司から「夜市にいかないか」と誘われた。 裕司に連れられて出かけた岬の森では、妖怪たちがさまざまな品物を売る、 この世ならぬ不思議な市場が開かれていた。 夜市では望むものが何でも手に入る。 小学生のころに夜…

私の好きなキャラクター

「絶対,最強の恋の歌」の「木戸さん」を久しぶりに見て, 小説にとってキャラクターは重要だなぁと改めて思いました。 というわけで(?),私が最近読んだ小説や漫画の中で, お気に入りのキャラクターについて,ちょっと書いてみたいと思います。 ちなみ…

「檸檬のころ」

いっそ痛いと思った、その痛みだけは思い出せた。 かっこ悪くて、情けなくて、でも忘れられない瞬間がある。 田んぼと山に囲まれた、コンビニの一軒もない田舎の県立高校を舞台に綴る、 青春の物語。 つまらないわけではないんです。けど,何か一つ物足りな…

「絶対,最強の恋のうた」

「100回泣くこと」作者の最新青春小説社会科教師のおでこのテカリ占いをしては大受けしていた陽気でマシンガンな中学時代から クールで一目置かれる弓道部員の高校時代を経て、 大学生になった私がしたことは、恋をすることだった。 遠くの的を見抜く力のお…

「キノの旅Ⅹ」

―「いい歌だった。歌もいいけど、歌手の声と歌い方がとても素敵だった。気に入った」 「おや、キノがそこまで満足げに言うとは珍しい」歌が終わった直後から、 まるでそれがスイッチだったかのように、広場には人の動きが生まれていた。 歩いて城壁へ向かう…

「赤×ピンク」

新シリーズ「赤×ピンク」の第1巻。 躁鬱の激しいブルマ少女、まゆ14歳(実は21歳)。 魅せることに喜びを感じる女王様、ミーコ(実はSMの女王様)。 女性にモテる女性恐怖症の空手家、皐月(実は…)。 彼女たちが毎夜働くのは、廃校の校舎を改良したファイト…

ららら科學の子

男は殺人未遂に問われ、中国に密航した。 文化大革命、下放をへて帰還した「彼」は30年ぶりの日本に何を見たのか。 携帯電話に戸惑い、不思議な女子高生に付きまとわれ、変貌した街並をひたすら彷徨する。 1968年の『今』から未来世紀の東京へ―。 30年の時を…

メディアの興亡

新聞社から活字が消えていく―。 コンピュータで新聞をつくるという壮大な計画にむけて、日本経済新聞社は動きだした。 アポロ宇宙計画に匹敵する難事業に社を挙げて取り組んだ日経を中心に、 大新聞の変革期に新聞人が何を考え、どう行動したかを活写する、 …

底辺女子高生

「本当の私」なんて探してもいません。みっともなくもがいてる日々こそが、 振り返れば青春なんです―。 「底辺」な生活から脱出するため家出した高校二年の春。 盛り下がりまくりの地味な学祭。 「下宿内恋愛禁止」の厳粛なる掟。保健室の常連たち。 出席時…

「ベスト&ブライテスト」

上巻 The Best & the Brightest―ケネディが集め、ジョンソンが受け継いだ 「最良にしても最も聡明な」人材だと絶賛されたエリート達が、 なぜ米国を非道なベトナム戦争という泥沼に引きずり込んでしまったのか。 賢者たちの愚行を、綿密な取材で克明に綴るベ…

混沌の欠片を集め、ヴィクトリカは語る。真実の言葉で――なにげなく目にした新聞の広告。言葉の裏に隠されていたメッセージは、 ヴィクトリカの母が狙われている、という警告だった。 行方不明の母の謎に迫るべく、ヴィクトリカは相棒・一弥とともに旅立った―…

私は大学時代,メディア関連の大学に通っていまして, 3年になったときに「ニュージャーナリズム」というジャンルに出会いました。 まぁ,はっきり言って日本ではまったく根付かなかったこのジャンルですが, 私は当時,「ジャーナリズムにこんな可能性があ…

キモカッコワルイがクセになる。爆笑&号泣の4コマ漫画を全279話、収録!! 月刊アフタヌーンの読者コーナーなどの小さいスペースで大人気、かつ不定期掲載中!! それでも、毎月読めるカラスヤサトシの奇行、愚行。気付いた人だけ大爆笑。そうやって、ハマ…

聖マルグリット学園の図書館塔の上の上、緑に覆われたその部屋で、 妖精のような少女―ヴィクトリカは待っている。 自らの退屈を満たしてくれるような、世界の混沌を―。 その少女は語るのだ。パイプをくゆらせながら。 「混沌の欠片を再構成しよう」 そして、…

なぜ、私なの?―賭博師シェルの奸計により、少女娼婦バロットの叫びは爆炎のなかに消えた。 瀕死の彼女を救ったのは、委任事件担当官にしてネズミ型万能兵器のウフコックだった。 高度な電子干渉能力を得て蘇生したバロットはシェルの犯罪を追うが、その眼前…

ネットなどの情報を見ていると,やけに評価の良い「時をかける少女」の映画版。 私はあまり映画を見る人ではないのですが,ちょっとした機会があり見に行ってきました。 この映画の原作となっている筒井康隆の小説「時をかける少女」は, 以前に読んだことが…

最近,読み始めても最後まで読み進められない,という本ばかりに当たっていたので, 日記を更新する気も起こりませんでした…。 ここは,相性のよい書評家である大森望氏が薦めている本でも読んでみるか, と思って読んだのが「アイの物語」。結論から言えば…

「大学の一年間なんてあっという間だ」入学、一人暮らし、新しい友人、麻雀、合コン…。学生生活を楽しむ五人の大学生が、社会という“砂漠”に囲まれた“オアシス”で超能力に遭遇し、不穏な犯罪者に翻弄され、まばたきする間に過ぎゆく日々を送っていく。パワー…

久しぶりに酔っているので,思ったことを適当に書かせてもらいます。 私が小説を読むようになったのはつい最近で,ちょうど今から2年ほど前くらいでしょうか。 それまでの読書の経歴というと,「新書→学問書→ノンフィクション」という感じでした。 小説はと…

「よつばと!」は誰にでも薦められる,超のつく傑作だと思っています。 それに対して,「あずまんが大王」は万人にはお薦めできませんが, かなりの良作だと思います。 この作品,見方によってさまざまな楽しみ方ができると思います。 まず,いしいひさいち…

ネットの書評などをめぐっていたときに,ラノベ作家として高い評価を得ている 桜庭一樹という作家のことを知りました。 いつか彼女の作品を読んでみようと思っていて,まず手にしたのが「ブルースカイ」でした。 本当は代表作といわれている「砂糖菓子の弾丸…

引っ越してきたアパートで、最初に出会ったのは黒猫、次が悪魔めいた長身の美青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ち掛けてきた。彼の標的は―たった一冊の広辞苑。僕は訪問販売の口車に乗せられ、危うく数十万円の教材を買…

「ALL YOU NEED IS KILL」を読んでみました。 桜坂洋の作品は「スラムオンライン」に続いて2冊目になります。 以下,あらすじを引用しますと… 「出撃なんて、実力試験みたいなもんじゃない?」敵弾が体を貫いた瞬間、キリヤ・ケイジは出撃前日に戻っていた。 …

やっぱりこの本を取り上げないわけには…。 私の今年一番の作品(今のところ)「よつばと!」。 著者であるあずまきよひこ氏の代表作といえば,あの有名な「あずまんが大王」。 そのイメージが強いためか,「よつばと!」も「萌え」コンテンツとして認識され…

古川日出男「アラビアの夜の種族」を読了しました。 私は長い小説が得意ではないのですが,古川氏の著作の中でも特に評判の良い作品なので, いつかは読んでみようと考えていました。 今回,夏季休暇の期間を利用して,何とか読み終えることができました。 …

今年の7月に乙一の「失はれる物語」が文庫化されました。 この本は,角川スニーカー文庫から出版された3作の短編集から 幾つかの作品を掲載しています。 ここでは,「失はれる物語」の元ネタになっている3作品, 「さみしさの周波数」「失踪HOLIDAY」「きみ…