12月も中盤に差し掛かり世間は年末モード。本のベスト企画も出揃った感があります。昨年は、追っかけてきた桜庭一樹が「赤朽葉家の伝説」でこのミス1位か?と期待してみていましたが(結果は2位)、今年は特に注目作もなく、それほどの盛り上がりはないです。とはいえ、ベスト企画で出会う本もちらほらあることも事実で、またいろいろと参考にさせてもらおうと思います。


さて、個人的なベストを思いつくままに。 ベスト企画は随分久しぶりw


小説の新刊では、3巻まで読了している夢枕獏東天の獅子」。格闘技や柔道に興味があるという個人的な趣味の要素、また史実的な面白さというノンフィクション的な要素などが混ざっているので、純粋に物語としての評価ではないかもしれません。が、夢枕獏の得意分野であり、もろに思い入れが伝わってくるいい作品です。
…ただ、改行大杉の獏文体で、単行本1800円はちと高く感じるw ノベルズで出てたらなおよかったw
既刊含めて読んだ小説だと、やはり「東天の獅子」と、あとは秋山瑞人鉄コミュニケイション」。鉄コミは漫画原作のノベライズということで敬遠していましたが、個人的には秋山No.1作品かも。小説として、そしてSFとしては「猫の地球儀」のほうが上でしょうけれど、あえて漫画として、私はこの作品が大好きだ。お気に入りは「あめあめふれふれ」のラストシーン。SFならではの名場面。


ライトノベルに限定すると、新刊では(ほとんど読めていない…)無難に犬村小六「とある飛行士への追憶」ですかね。短いけれどもボーイミーツガールと任務遂行までの過程に的を絞ってスパッと書き上げており、エンタメ性は高かったです。ただ、あまりにもとってつけた感じの世界観がマイナスかな。あとは、エロ自重w ちなみに秋山待望の新刊「DRAGON BUSTER」はまだ終わっていないし、本当に終わるかどうかも分からないので対象外w
既刊含めると前述の鉄コミが抜けてよかったですが、桜坂洋よくわかる現代魔法」もよかった。シリーズとしてはもうちょっとだけれど、1巻(new edition)限定ならかなり楽しめました。どうやらアニメ化の話もあるようだけれど、なぜ今更? 正直、アニメで面白くなる内容ではないんじゃないかとも思うのだけど…。


漫画ではとよ田みのるFLIP-FLAP」かな。ピンボール漫画という謎ジャンルながらも、「好きってのはこういうことなんだよ!」と叫びたくなる、すべての趣味人に勧めたい作品。ちなみに、著者のデビュー作「ラブロマ」は、悪くないけれどもちょっとウーン、という感じw デビュー作から随分化けたな、とプラスに解釈しましょうw
そういえば、土塚理弘バンブーブレード」も今年読み始めたのか。美少女剣道物なんて読んでいる俺、人生オワタ! …まぁ、私がアレなのは確かとしても、内容は正しく少年漫画的成長ストーリーで、しかも実質的な主人公は顧問のオッサン(といっても20代後半)コジローというw 特にコメディーとしての1巻は素晴らしい。また、オッサンの成長物語としての8巻、9巻はツボでした。9巻の感想、ちゃんと書かなきゃなぁ。
あと、カラスヤサトシ「おのぼり物語」もよかったです。「げんしけん」にもどっぷりはまりました。「よつばと!」はどの巻も神なのであえて対象外ということでw


アニメは「劇場版パトレイバー」の2作目。非エンタメの度肝を抜かれる作品で、映画館で見た人はどう思ったのだろうとそれが気になりましたw これは一度見てすべてを理解できる作品ではないよなぁ。それはともかく、10年以上も前の作品でありながら、まったく古さを感じさせないテーマで、押井監督は何年先を見て作品作っているんだと驚かされます。そして、アニメーションならではの映像の迫力を存分に感じることができました。
あとは最近20話以上を一気に見た「電脳コイル」。世間での高評価も納得。こういう、世界観がしっかりしている作品ってやっぱり好きなのよね。最初は不可解に思えた様ざまな設定が徐々に明かされていく快感!後半で「コイルズ社」という単語が出てきてから、やっといろいろと腑に落ちて、うれしかったです。
ちなみに、現在進行形で見ている「とらドラ!」は、今年放送されたアニメでは一番かもw


ノンフィクションは、懸案だった佐藤優木村元彦をやっと読めたのが何よりの収穫。しかもすげぇ面白かった。木村元彦「悪者見参」は世界の悪者にされたセルビア人達の「空爆前」から「空爆後」を見事に描いた作品で、これと「戦争広告代理店」は世界的に見ても旧ユーゴを知る上で貴重な作品ではないかと思います。そして、旧ユーゴの民族問題は、現在でも何も解決されていない…。
佐藤優「自壊する帝国」は、旧ソ連事情を知る上でもよかったですが、個人的には佐藤優という異形の外交官の青春期として、前半部分が楽しかった。「私のマルクス」でもこのあたりについて書いているようなので、文庫化したら即読みたいところ。
あと、メディア系の学科で学んだ身としては、中川一徳「メディアの支配者」もやっと読めたという感じ。卒業して1年目くらいに出版されて、その頃は完全にノンフィクション離れていて読めなかったのよね。今年久しぶりにノンフィクションにも手を出せたことで、読書の幅が広がりそうです。
竹熊健太郎「箆棒の人々」忘れてたw 全然知らない人たちのインタビュー集だったにもかかわらず、とても面白く読めました。昭和史はやっぱり面白い。


以上、今年の印象に残った作品をザッと書き出してみました。ほかにもあった気がしますが、とりあえずは今思い出せる範囲内ということで。今年の更新はこれで終わりかな?来年も書ける範囲で感想書いていきますんで、暇なときにでも覗いてやってください。