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日記始めたばかりでまだ記事数が少ないので,昔に読んだ作品の感想を。
祥伝社から出版された恋愛小説のアンソロジー「I Love You」。
私はほとんど恋愛小説は読まないのですが,伊坂幸太郎や中田永一(おそらく中の人は乙一)が
恋愛小説を書くというので,興味を持ちました。
この本の中で一番好きだったのは,伊坂氏の「透明ポーラベア」。
もう,この作品だけでも,1600円(プラス税)を払った甲斐があったと思いましたよ。
私は伊坂氏の作品はだいたい半分くらい読んでいますが,この作品が一番好きです。
この作品は短編ならではの面白さがあります。
話の中に仕掛けは一つだけで,その仕掛けがシンプルかつばかばかしい。
仮に長編で,最後にオチがアレだったら怒りますが,
短編だからこそ「やられたー…」ってなるんですねぇ。
そしてそのばからしさが,とても微笑ましくてよかったです。
電車でニヤニヤしながら読んでしまったので,ちょっと怪しい人だと思われたかもしれませんが…。
それに続くのが中村航の「突き抜けろ」。
まず,これはまったく恋愛小説ではないですw
私は恋愛小説を期待してこの本を買っていないので良いのですが,
恋愛小説が読みたくて買った人は怒るのではないでしょうかw
私は,この作品が初めて読む中村氏の作品で,これ以後彼の著作を読むようになりました。
大学生がただただ鍋をつつくというだけの話なのです。
そのシーンが中村氏独特の視点からユニークに描かれていてとても楽しめます。
登場人物のキャラも立ってますねぇ。
大学時代などに鍋を囲んでバカみたいに飲んだ経験のある方にはぜひ読んでみてほしいです。
そういえば昔,一人暮らししていた友人の家に,鍋を買って押し入ったことがあったなぁ…。
中村氏の作品では「リレキショ」でも3人でお酒を飲むシーンがあって,
そこでの会話もとてもよかったです。
何となく,酒と料理のシーンがうまい作家だと認識してしまっているのですが,
それはちょっと限定的過ぎる評価ですかねw
この2作品だけでも買う価値のある,お薦めのアンソロジーです。