やっぱりこの本を取り上げないわけには…。
私の今年一番の作品(今のところ)「よつばと!」。


著者であるあずまきよひこ氏の代表作といえば,あの有名な「あずまんが大王」。
そのイメージが強いためか,「よつばと!」も「萌え」コンテンツとして認識されているのでしょう。
まあ,「電撃大王」で連載されているという点からも,仕方ない面はあるのですが…。
ただ,個人的にはこの作品が「萌え」の一言で片付けられてしまうのは,あまりにも惜しい気がします。
電撃大王」の対象読者だけでなく,より広い層に受け入れられる内容だと思うだけに。


この作品は,「よつば」の日常を描いたほのぼの系ギャグ漫画で,
笑いだけでなく,作品からにじみ出る温かい雰囲気も大きな魅力です。
その雰囲気を作り出しているのは,なんと言ってもキャラクター達の魅力でしょう。
物語の中心となるよつばはもちろんですが,その周りを固める大人たちがとにかくいい。
彼らは,よつばの奇行(?)に対して,優しく,時に厳しく,
場合によっては大人気なく(笑)接しています。
よつばとの接し方を見ていて,彼らがいかによつばを大切にしているかが
伝わってきて,とても温かい気持ちにさせられます。


よつばに対する接し方も,人によって違っていて面白いです。
例えば,あさぎと風香はよつばにとっては大人のお姉さんに当たりますが,
その接し方はちょっと違っています。
風香はよつばのペースに合わせてあげていて,あさぎはよつばをうまくからかっている感じです。
また,あさぎの友人である虎子は,子供が苦手な雰囲気が出ていて,これもまたいい感じ。
綾瀬家とその周辺の人々と,よつばとの関係性が絶妙に描かれていると思います。


考えてみれば,よつばと同じくらいの歳の子供は,この作品に登場していませんね。
その辺は,よつばと大人の接触が一つのテーマになっているからなのでしょうか。
いや,ヤンダだけはよつばと同格として扱われている気がしますがw


個人的には2巻に出てくる,よつば,恵那,みうらの掛け合いが気にっています。
よつばとおえかき」では,よつばの絵がうまいのか下手なのかをめぐって,
よつばとかえる」では,皆が苦手なものをめぐって,
徐々に泥沼にはまっていく様が見ていて笑えます。
まさに作られたコメディー,といった感じの話,私は大好きですねぇ。
また,「よつばと!」で唯一,よつばが出てこない「あさぎのおみやげ」での,
綾瀬家の3姉妹とお母さんの掛け合いも面白かったです。
これがなんとなく,「あずまんが大王」っぽく見えてくるのは,
やはり女性しか登場しないからなんでしょうか…。


とにもかくにも,絶対にお薦めのこの作品。
イメージ的には買いづらい作品になってしまっていると思いますが,
それなりに広い層に受け入れられる作品だと思うので,一度手にとっていただきたいです。