よつばと!」は誰にでも薦められる,超のつく傑作だと思っています。
それに対して,「あずまんが大王」は万人にはお薦めできませんが,
かなりの良作だと思います。


この作品,見方によってさまざまな楽しみ方ができると思います。
まず,いしいひさいちなどの4コマ漫画を愛読する立場から見ると,
4コマ漫画としてかなり優秀な作品だと思います。


4コマ漫画としては,ストーリー性がある点,また4コマ目で必ずオチない点などが
言われますが,それは当時でもそこまで珍しくはなかったと思います。
この作品で特徴的なのは,やはり登場人物に強烈なキャラクターをつけて笑いを取る
という手法でしょう。


いしいひさいちが政治家や野球選手などに勝手なキャラクターをつけて,
そのキャラクターを生かして笑いを取るということを良くやっています。
(政治家で言えば,中曽根は「えげつない」,小沢は「腹黒い」などで,
野球選手で言えば原は頭が悪く,元木は清原の手下,とかw)
キャラクターの設定を知らないと意味がわからないというオチも結構あるので,
4コマとしてはそれが欠点といえば欠点といえるのですが,
個人的にはキャラネタも好きなので,「あずまんが大王」のノリにはすんなりついていけました。
大阪さんの脳内ではちよがおさげで飛べることになっている設定や,
榊さんの脳内でちよの父親が猫っぽいものになっているという設定は,
作中で延々と利用されていて,その都度笑ってしまいました。


また,よく言われるあずま氏独特の間の取り方や,
よつばと!」ではあまり見られないシュールな笑いなども,
いい味をだしていますね。
4コマ漫画として,文句のつけられないほど笑える作品になっていると思います。


ただ,私がこの作品を純粋に4コマ漫画としてみていたかと言うと,
やっぱりそうは言い切れない部分が…。やはり萌え要素のある作品だとは思います。


色恋沙汰もない,大きなイベントも発生しないというゆるーい空気や
あずま氏の筆力もあって,「萌え」をあまり理解していない私でも,
これなら萌えるなぁ,と思ってしまいましたw
というか,大阪さんは反則だよ。。。
不幸も対立もないというあずまワールドという箱庭の中でないと,
あのダメな天然ボケキャラである大阪さんは存在しえません。
大阪さんを生み出したあずま氏はやはりネ申だと思いますw


まあ,連載が電撃大王であることや,本の表紙に女の子しか出てこないということで,
どうしても萌え要素が強い漫画だと認識されているでしょうし,それを否定はできません。
でも,「よつばと!」の著者が書いている時点でそれだけの作品でないことは明らかですし,
なにより4コマとして十分に評価できる内容だと思います。
でもまあ,普通は手に取りにくい作品なんだろうなあ。。。