私は大学時代,メディア関連の大学に通っていまして,
3年になったときに「ニュージャーナリズム」というジャンルに出会いました。
まぁ,はっきり言って日本ではまったく根付かなかったこのジャンルですが,
私は当時,「ジャーナリズムにこんな可能性があったのかぁ!」と感動しておりました。
(と,さきほどwikipediaで「ニュージャーナリズム」で検索してみたのですが,
ひ,ひっかからない…。そこまでマイナーなのか…)


「ニュージャーナリズム」の正確な定義は私も知らないのですが,
簡単に言ってしまえば,取材した結果を再構成して,物語に仕立て上げる,というものです。
取材メモを元に,登場人物(実在の人物ですね)の心境や表情などについても書いてしまいます。
あたかも,記者がその場に居合わせたように書くのですが,すべて取材メモを元に書きます。


…まあ,少し考えればわかるように,この手法は記者の主観とか,
もっと極端に言えば嘘が入り込む余地がたぶんにあって,危うい手法であることは確かです。
でも,実際にこのジャンルの優秀な作品を読むと,そんな細かいことどーでもよくなりますw
だって,小説仕立てで事実が書かれているんですよ?
事実を淡々と書き上げるルポルタージュに比べたら,どれだけ魅力的なことか…。
いや,ルポルタージュも絶対に必要なジャンルなんですけどね。


また,物語仕立てで書くわけですから,かなり細かいことまで取材が必要になります。
一番極端な例を挙げますと,デイヴィット・ハルバースタムの「メディアの権力」は,
取材協力者を紹介するページが8ページにわたっていて,総勢500人近くなっています。
それも,「名前を出せる人」で500人近くですから,
実際には1000人近くの人から取材したのではないでしょうか…。
まぁ逆に言えば,取材に途方もない手間がかかるせいで,
ニュージャーナリズムの手法を使う人がほとんどいないのでしょうが,
それでも,この手法でかかれる作品はたいていが力作で面白い,というのも確かです。


…とはいえ,最近は私自身,堅い本はからっきし読まなくなってしまい,
あまりとやかく言える立場ではなくなってしまいました。
でも,本当に魅力あるジャンルにも関わらず,超マイナーで感想を書いている人も少ないので,
大学時代に読んだ何冊かの本を紹介したいと思いました。
少なくとも,ハルバースタム杉山隆男魚住昭,手嶋龍一の作品くらいまでは
紹介できるように頑張りたいと思います…。
とはいえ,小説の紹介もしていくので,かな〜りスローペースになるとは思いますが…。
近いうちに,杉山隆男の「メディアの興亡」から紹介したいと思います。


せっかくはてなの「カテゴリー」の使い方を覚えたので,「ニュージャーナリズム」という
カテゴリーを立てておいて,気が向いたときに更新したいと思います。