混沌の欠片を集め、ヴィクトリカは語る。真実の言葉で――

なにげなく目にした新聞の広告。言葉の裏に隠されていたメッセージは、
ヴィクトリカの母が狙われている、という警告だった。
行方不明の母の謎に迫るべく、ヴィクトリカは相棒・一弥とともに旅立った――。

<“灰色狼の末裔”たちに告ぐ。  近く夏至祭。我らは子孫を歓迎する―>
新聞の広告欄に掲載された謎のメッセージ。
それを見て熱病にうなされるように、学園を飛び出すヴィクトリカ
彼女と九条一弥は、ある山間の小さな村を訪れる。
そこは、ヴィクトリカにとって忘れ難い場所であった…。
夏祭りが近づく謎多き村で起きる不可解な殺人。そして過去に起こった不可能な殺人。
二つの事件に巻き込まれていくヴィクトリアと一弥は、
混沌の欠片を集め、確実に真実へと近づいていく
。祭りの篝火の向こうにある血塗られた真実とは?絶好調のゴシック・ミステリー第二弾!


桜庭一樹の優等生(?)ミステリシリーズ,「GOSICK」の2巻を読みました。
個人的には1巻よりも面白かったように思います。


何が前作よりも面白かったのか考えてみると,
やはり舞台が怪しい村だからなのかもしれません。
「ブルースカイ」でも中世ドイツの怪しい雰囲気をきれいに描いていましたが,
この作品でも怪しい雰囲気が漂ってきて,良い感じです。
1巻は船の中の話だったせいもあり,そういう描写が弱かったんですよね。


それにしても,ヴィクトリカと一弥の会話の部分って,
地の文のシリアスな感じと比べてどうにも浮いてしまう気がします。
学園内にいるときはそこまで違和感はないのですが,
<名もなき村>に入って以降はどうしてもなぁ…。
まあ,レーベルを考えればやむをないのですが,
その割に地の文は結構ガチで書いている気もするしで,
どうにも地の文と会話の部分で統一が取れていない気がしてしまいました。


ミステリとしては…って,私はミステリとして面白いかなんて
はっきり言ってあまり分かりません。このジャンル,ほとんど読まないんでw
ただ,トリックは無理があるという感じはしませんし,
シロウトの私が読む文には普通に楽しめるくらいにはしっかりしていると思います。
あと,このシリーズに共通しているのでしょうか,本編の間に「モノローグ」として,
一弥やヴィクトリカとは異なる視点から物語が語られる部分があるのですが,
その使い方は1巻のほうがうまくいっていたように思います。


さて,2巻ではヴィクトリカについての謎が少し明らかになってきていますが,
まだ幾つか謎も残っていますし,なにより第2次世界大戦が近づいている感じが…。
肩の力を抜いて楽しめる作品なので,またちょくちょく読んでいこうかなぁと思います。