底辺女子高生

「本当の私」なんて探してもいません。みっともなくもがいてる日々こそが、
振り返れば青春なんです―。
「底辺」な生活から脱出するため家出した高校二年の春。
盛り下がりまくりの地味な学祭。
「下宿内恋愛禁止」の厳粛なる掟。保健室の常連たち。
出席時数が足りなくて、皆から遅れた一人きりの卒業式。
最注目の作家によるホロ苦青春エッセイ。

書店で見てどうにも気になる本だったので,ついつい買ってしまいました。
いや,タイトルの「底辺」の響きがどうしても…。
豊島氏の作品はまったく読んだことがなく,それなのにエッセイを読むと言うのも
不思議な感じはしましたが,面白かったです。


この本で出てくる「地味男子」というのはまさに私のことだったわけですが(今もそうだ),
やはり「地味女子」の方々も似たようなことを考えていたのだなぁ,
と感慨深く思ってしまいました。
なんといっても,豊島氏は同世代(同年齢か一つ上)なので,
妙にリアリティがあります…。
あの頃きっと,友達になれるような地味女子の方っていたんだろうなぁ,
と思うとちょっともったいなかったかもしれません。


さて,私も高校時代は本当に学校が嫌いだったので,
読んでいていろいろと共感できる部分もありました。
ただ,私の場合は豊島氏ほど真剣に悩んでなかったなぁ,と思います。
豊島氏は,なぜ自分が「底辺」にいるのかをとてもまじめに考えていて,
そこからぐちゃぐちゃと悩むようになっているみたいです。
「あとがき」で書いている次の部分が,この本(というか豊島氏)を
よくあらわしていると思いました。

…それでも書きたいと思ったのは,どこかに,十六,七の私と同じような高校生が
いると思ったからです。わかりやすい理由がないのに,
自分も世の中も嫌いでしょうがない高校生が(それはある意味,
自分をとっても好きということなんだけど,健康な「好き」ではない,多分)。


読んでいて,豊島氏は自分が好きなんだろうなぁ,という気がとてもしました。
いや,全然悪い意味ではなく。


私の場合は自分は大嫌いですが,地味な立ち位置自体は結構好きで,
「ハヤナカ」な方々をみてもあまりコンプレックスは感じませんでした。
なんか,高校に入学したばかりの頃,
皆が同じことをすることに嫌悪感を抱いてしまったんですよね。
(「同じこと」というのが,なぜかギターとマージャンだったんですが。なぜだろうw)
その点,「地味男子」のほうが分けのわからない個性的な人がいて,
私としては彼らと付き合っているほうがよかったのだと思います。
いやまあ,それは結果であって,
話せる人が「地味男子」しかいなかっただけかもしれませんがw


ただ,「底辺」といいつつも,豊島氏には美術室や下宿,保健室と幾つか居場所があり,
また仲の用意友人もちょくちょくいたみたいで,その点は結構恵まれている気がします。
私は友人こそちょくちょくはいましたが(いや,少ないのは確かですが…),
自分の居場所ってなかったですねぇ,当時。
今でも,ホームルームが終わると,
走って15時24分の快速に飛び乗っていたことを思い出します。
高校から一秒でも早く抜け出したかったんですよねぇ。。。


と,こんなことを書いていたら高校の頃のトラウマな出来事などを思い出してきてしまったので,
この作品を読んでいて思わず共感してしまった部分を。
豊島氏は今でも,高校の同級生に向かって「あんたらなんかだいっきらいだぁ!」と叫んでいる
夢を見ては,もういい大人なのに…と自己嫌悪に陥るそうです。
もう,これ読んで爆笑してしまいました。
私の場合,相手は高校の同級生ではなく父親だったりしますが
(理由あって,高校時代辺りから父親を嫌悪しているので…),
いまだに父親に罵声を浴びせかける夢を見てしまいますw
一人暮らしでこんな「今更〜」な夢を見て,
起きたときの自己嫌悪感はひどいものがあるんですよねぇ。
これからは徐々にそういう夢をみることもなくなるんでしょうが,
まだ高校時代が大昔ではない私の世代の人間だと,
高校時代の亡霊みたいなものを夢の中で見てしまうことが
往々にしてあるんでしょうねぇ。


また,「男子こわい」のお話は,最後の一節が秀逸でした。

私は二十三歳現在,いまだに自分から男子に話しかけることができません。
…病気ですか?


もうこれは,病気に近いですよ。そして,私も女性に話しかけるのはどうも…。
さすがにいい歳してこれだと,もうなぁ。。。


とまあ,高校時代の話でも共感できる部分はありましたが,
やけに同世代の香りがするところに強く共感してしまう一冊でした。。。