「大問題'07」

オリンピックでの荒川静香の活躍に始まり、WBCでの日本の劇的な優勝、ワールドカップハンカチ王子の登場などスポーツの話題が豊富だった2006年。一方、飲酒運転による悲惨な事故は多発し、時代の寵児だったホリエモンも逮捕され、履修漏れも次々発覚。ノロウイルスの蔓延もひどかった。一体日本はどうしたんだ! なにかと派手だった'06年を軽妙な漫画と洒脱なコラムで読み解く、いしい版「現代用語事典」。

なんとなぁく6月くらいになると「そろそろかな?」と思い出される風物詩,「現代用語の糞知識」こと「大問題」シリーズが今年も発売されました。大学時代に出会ってから古本屋とかで全巻集めているので,95年から10冊目(01,02,03はまとめて一冊だった…)ですな。


このシリーズは菊池寛賞(笑)のいしいひさいちが,いろんなところの連載で書いてきた時事ネタを集めて本にしたものです。まぁそれこそ,非自民連立政権時の「小沢-公明党ライン」とか,オウム事件当時のネタとか,書いちゃいけないことまで茶化して書くのがいしい先生のすごいところ(非自民連立時代に,某宗教団体の会長が小沢氏に向かって「彼はカルマが高い」とか言ってたりしてびっくりしたことがありますw)。今回も相変わらずやりたい放題で,いつもどおり似顔絵はまったく似ていませんw


いしい先生の特長と言えば,実在の人物を勝手に「いしいキャラ化」してしまうところで,これって継続していしいの4コマ見てないとわからないだろ!というネタまであります。まぁ,こういうのが許されるのは大御所ならではというところでしょうか。時事ネタである「大問題」シリーズでも同様で,よく出てくるキャラになってくると実際のイメージからどんどんと離れていきますw 金正日が素朴な常識人キャラってのは,いしいファン以外だとかなり違和感あるだろうなぁw 今回も金正日の一人突っ込み,もとい「主体(チュチェ)突っ込み」で大爆笑させていただきました。ブッシュのバカキャラ,ライスの黒幕キャラもかなり板についてきているので,任期が終わって「大問題」に登場しなくなるのが残念になるくらいですわw 安倍首相も,今やすっかりトホホキャラです。


ちょっと残念なのは,年々スポーツネタが減ってきている気がするということ。昔はプロ野球ネタがごっそりあったのですが,最近はあまり興味ないのかなぁ。スポーツ関連のネタを書く場所がないだけなのかもしれないけれど。やっぱり清原が出てこないし,子分(笑)の元木も引退しちゃったのがよくなかったのかなぁ。来年度には,スポーツネタが少しでも増えていることを願います。


ちなみに,この作品はいしい先生の4コマと,峯正澄氏の時事ネタ解説コラムで構成されているのですが,コラムのほうは「うーん…」という感じです。斜に構えるのはよいのですが,それならそれで面白く書いて欲しいもんです。なんかどうにも,私は嫌いだなぁ。


「大問題」以外のいしい作品では,「鏡の国の戦争」,「ノンキャリウーマン」シリーズ,双葉者の「ひさいち文庫」シリーズから出ている不条理ギャグ「んなアホな!」あたりがお薦めです。