「FLIP-FLAP」

世界初(?)のピンボールブコメ!!
「このスコアを超えること」片想いの同級生・山田さんが提示した交際の条件をクリアするため、フツーの高校生・深町くんの生活が一変する!!!


でがらし的お勧めの読み方

  1. 本書を読んでテンションをあげる。
  2. OSがWindows(XP以降)であるPCを立ち上げる。
  3. スタートメニューから、[すべてのプログラム]-[ゲーム]-[ピンボール]を選択する。
  4. とにかくピンボールを「楽しむ」。ボールを落としてしまったときには「あぎっ!」だの「チックショー!」だのと叫ぶと効果的。なお、興奮してPCに対してハッジング(揺らし)を掛けないように注意。


…そんなわけで、「FLIP-FLAP」なのです。友人に渡されて読んでみると、いきなりヒロインの山田さんが、ピンボールでハイスコアを出したらつきあってあげるという無茶苦茶な展開。なんか妙な本を薦められちゃったなぁと思っていたのですが、読んでいくとずるずると引き込まれていきました。この可愛らしくて熱い物語、大好きです。これはとよ田氏のほかの作品も読まねば。


たかがピンボールをプレイしているだけなのに、その描写がやけに熱い!その理由は、主人公の深町くんがプレイに集中していったときの演出だろうなぁ。「PINHEAD EXPO」の回でプレイするシーンなんてすごく熱くて、周囲の喧騒の中でコンセントレーションを高めていく深町くんの姿はただただ格好いい(なんとなく、「マルドゥック・スクランブル」でのブラックジャックシーンを思い出しました)。深町くんが歯を食いしばりながらニヤリとする場面があるのですが、あの表情は真剣さ・楽しさが伝わってきて好きだなぁ。
また、絵的に地味なゲームに感じられるピンボールですが、ハッジング(揺らし)という技術がよい演出になっています。ハッジングとはピンボールの台を揺らしてボールの軌道を変えるという技術です。そのハッジング描写に迫力があって、まるでスポーツの描写みたい。まぁ、実際には揺らしすぎると「TILT」という反則になってしまい、アウトになってしまうんですけどねw
そしてなによりも、ボールを落としてしまったときの叫びですよ!ヒロインの山田さんにしていきなり「あがきゃっ!!!」ですからねw なんともいえない苦悶(でもちょっと楽しそうw)の表情と叫びには幾度も笑わせてもらいました。


さて、作品のテーマは「まったくもって意味のないピンボールなんかになぜ熱中できるのか」という点。どんな感じで描かれているかは実際に読んでみてほしいのですが、この作品のメッセージに対しては、ピンボールに限らず趣味を持つすべての人々が実感できるんじゃないでしょうか。例えば私も趣味で小説やらを読んでいるのですが、それが何か具体的に役立つとは思っていないんですよ。もちろん、自分のものの見方や考え方に影響を与えた作品は幾つもあります。ただ、それはやはり二次的なものであって、何よりも「楽しい!」と感じるから読んでいるんです。「FLIP-FLAP」ではこの「楽しい!」見事に描かれていると思いました。「好き」ってことはこういうことなんだよ、と。


あとは、一冊で完結している読み安さ、独特で味のある絵、しっかりと笑えるギャグなど、個人的にはど真ん中ストライクの作品でした。最初に「妙な本」などと思ってしまって、申し訳ない気持ちで一杯ですw さて、これからまたWindowsピンボールでもプレイしよう…。


下記がとよ田みのる氏のホームページ。いくつか漫画も読めるみたい。
http://members.edogawa.home.ne.jp/poo1007/