「わたしたちの田村くん」

わたしたちの田村くん〈2〉 (電撃文庫)
わたしたちの田村くん (電撃文庫)

「中学生活最後の夏」という魅惑のフレーズに浮かれるクラスから取り残されていた田村くんの前に現れたのは、進路調査票に「故郷の星へ帰る」と書き続ける不思議少女系、松沢小巻だった。受験直前のバレンタインデー、田村くんの部屋に投石して窓を粉砕&チョコを誤爆したのは、学年随一の美少女にしてクールなツンドラ系、相馬広香だった。そんな変わり者の女の子二人と、空回りしながら奮闘する田村くんが贈る、おかしくてちょっと切ないラブコメディー。「電撃hp」で人気の『うさぎホームシック』『氷点下エクソダス』に、田村をそそのかす男・高浦とその奇妙な妹を描く番外編を加えて待望の文庫化。

松澤小巻。進路調査票の志望校欄に「故郷の星へ帰る」と書き続ける不思議少女。中学三年の夏、田村くんを魅了し翻弄し、その心をとらえたまま家庭の事情で遠方へ去る。相馬広香。孤高の美少女。でも少し寂しがりやの意地っ張り。高校一年の春、罵りあったり励まされたりした末、田村くんのファーストキスを奪う。そして奇しくもそのキスと同じ日、久しく音沙汰のなかった松澤から届いた一通のハガキが波乱を呼ぶ―。はたして三人の恋の行方は!?おかしくてちょっと切ない、あなたのツボにくるラブコメディー第2弾。


とらドラ!」を読み終えた勢いで、たけゆゆ先生の本を一気に読んでしまおうと思い読了。1巻で田村くんの中3時代の恋(松澤)と高1時代の恋(相馬)を描き、2巻では意図せぬままに二股の泥沼にはまって苦しむ田村…というお話です。


1巻は竹宮氏のデビュー作。どこか既視感漂う設定(特に1話の「うさぎホームシック」)ですが、まぁしっかりと楽しめました。「とらドラ!」のようにグッとくるような話ではなく、サラッと楽しめてちょっと切ないという、純粋な学園ラブコメ作品です。ただそれだけに、今年で27の男が読むには少しむず痒いというところもあり…。まぁ、「とらドラ!」の「重たい」部分が苦手で、純粋にラブコメを見ていたいという人にはお薦めです。


2巻は一転して、意図せず二股の泥沼にはまった田村の苦しみが延々と…。ただ、泥沼な展開の中にもしっかりとコメディーを入れてくるあたりはさすがですね。しかし(意図せずとは言え)二股をかけるようなモテる男の気持ちなんて私に分かるわけもないので、いまいちピンとこなかったw あと、設定として松澤と手紙以外でやりとりしていなかった、という点にどうしても無理があるような気がします。今のご時世、遠くに引っ越してもケータイでメールなり電話なりできるわけですから、どうしても不自然に感じてしまいます。こういう細かい違和感が作品のリアリティーを一気に奪ってしまう、ということもあるので、もう少し設定を練ってほしかったなぁと思います。


ちなみに、2巻の帯は「不思議少女系とクールなツンドラ系 あなたはどちら派?」。私は断然、松澤小巻(不思議少女系)派だと明言させていただきますw