秋山瑞人が新作?

最近はライトノベル作家が一般小説を書く機会が増えていて,有川浩氏,桜庭一樹氏,橋本紡氏あたりはどちらかというと一般小説を書く人になっています。私の一押しである桜庭一樹氏について言えば,ライトノベルとして出版された名作「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」が2月に単行本として再び出版されるということで,ファンとしてはうれしい限りです。


そんな中,こんなびっくりするような情報が…。

秋山瑞人『ヒーローもの』(仮) 2007年5月刊行予定
祥伝社より刊行。判型不明。


大ヒット作『イリヤの空、UFOの夏』『ミナミノミナミノ』等、
寡作ながら完成度の高い作品を発表し、世代を超えた読者から
カリスマ的支持を受ける著者が一般文芸に進出!
どこかヌケた愛すべきヒーロー(実は……?)が騒動を巻き起こしつつ
成長する青春譚。乞うご期待!

情報元:560の雑記さん


いまだ電撃文庫以外のレーベルで書籍を出していないにも関わらず,SFマガジンに掲載された「おれはミサイル」で星雲賞の短編部門を受賞,一部の間で熱狂的に支持されている作家,秋山瑞人氏が祥伝社から新作を出すそうなんです。むろん,秋山氏は筆の遅さも有名で,新作をなかなか出さない,続き物でも続編を出さないなどファンを苦しめ続けていることから考えると,本当に出版されるかはまだわかりませんが…w ただ,本当に出版されるのであれば,期待せずにはいられません。秋山氏の作品は,ライトノベル以外の読者層の方々にも十分受け入れられると思いますからね。


私は秋山氏の作品では,「イリヤの空,UFOの夏」と「猫の地球儀」を読んでいます。「イリヤ…」のほうは学園でのドタバタとか,水前寺の無茶苦茶キャラとかがあまりなじめなかった印象ですが,それでも秋山氏の力量が伝わってくる部分が数多くありました。特に書き出しの風景描写は秀逸で,ありふれた風景の中に何気なく「基地」という言葉を入れることで,絶妙な違和感を演出しています。この「基地」の言葉一つで「この作品の世界観はどうなっているんだろう」と気になってしまい,どんどんとページをめくらされてしまいました。地の文で世界観を説明しないで,物語の中の節々でなんとなく世界観を示していく書き方には,個人的には好感を持っています。また,4巻の「夏休み再び」以降の欝展開にはさすがにやられました…。


そしてなにより,「猫の地球儀」では人間が絶滅したあと(?)の,猫しかいないスペースコロニーという世界を本当に違和感なく描いています。この日記でも感想を書いているので詳しくは書きませんが,何よりも猫の「楽」がシャボン玉で遊ぶシーンがなんとも美しく,素晴らしく,そして…。


そんなわけで,個人的には秋山氏の一般小説デビューにはかなり期待を持ってしまいます。本当に5月に出るのか,そもそも本当に出版されるのか,まだまだ予断は許しませんが,期待しすぎないくらいに期待して待ちたいと思いますw それにしても,「オレはミサイル」って出版されないのかな?