「涼宮ハルヒの憤慨」「涼宮ハルヒの分裂」


涼宮ハルヒ」シリーズも,ようやく最新刊まで追いつきました。4巻目の「消失」を読んだときのテンションだったら,最新刊まで一気読みだっただろうと思うのですが,どうにも「消失」以降はぱっとしない印象が。それでも読み続けているのは,とりあえずはすらすらは読めてしまうってことと,何よりも谷川流氏に対する期待からでしょうか。良作である「憂鬱」と,傑作である「消失」が,まさか偶然に書かれたものとは思えませんもの。谷川氏は力のある作家さんだと思うからこそ,ここまで読み続けてきたわけです。


で,8作目の「憤慨」。「編集長★一直線!」と「ワンダリングシャドウ」の短編二つが収録されているのですが,正直「編集長★一直線!」を読んで,そろそろこのシリーズを追うのはやめようかなぁ…と思ってしまいました。うーん,何が面白いのかさっぱり解らん…。新キャラの登場にしても,「新キャラ出す前に,今までの伏線なんとかしろよなー」という感じですし,学園ドタバタコメディーは私にはちょっと辛いし,何よりも谷川氏にミステリをやらせるなとw SFやらせてなんぼの人だからなぁ。とにかく,「編集長★一直線!」を読んでからこの本は投げてしまってために,再び「ワンダリングシャドウ」を読み始めるまでにしばらく時間が掛かったくらい,これはないだろうという感じでした。


さて「ワンダリングシャドウ」のほうですが,こちらはいつもの「頑張れ長門さん」的なパターンですし,SFのネタとしても今までのネタと比較してもそれほど新しい感じはなかったのですが,それなりに楽しめました。「幽霊」という陳腐な概念をいつものパターンにはめたところに,お話の面白さがありましたかね。「暴走」の「エンドレスエイト」もそうですが,このシリーズでの短編SFは,びっくりするようなネタではないし,展開的にもそれほど盛り上がるわけではないけれど,「ビミョーに非日常系」というコンセプトには一番合う感じで,なかなか楽しめます。


次に「分裂」…なのですが,これは1冊で完結していないのね。ちゅうわけで,評価は保留。現段階としては,今までこの展開がなかったのが不思議なくらいにまっとうなパターン(ハルヒにライバルにあたる人物が…)ですし,「分裂」がなぜ起きていて,現状がどういう状況なのかについても説明がまったくない状態ですから,続巻への期待は膨らみます。ここでしっかり落としてくれるんなら,まだまだこのシリーズ追いますよ。これであかんからったら…もういいかなぁ,という感じかも。