劇場版パトレイバー

機動警察パトレイバー2 the Movie [DVD]機動警察パトレイバー 劇場版 [DVD]


ネット上でお世話になっているすのさん(http://blogs.yahoo.co.jp/snowkids1965)にお貸しいただいて、パトレイバーの劇場版2作(第1弾と第2弾)を鑑賞しました。家のノートパソコンで見ようかと思ったのですが、どうせならもう少し良い環境でと思い、駅前のネットカフェにての鑑賞と相成りました。いやはや、東京に引っ越してからは電車に乗らんでもネットカフェがある素晴らしい生活…。


劇場版第1作目は、まさに「エンターテイメント」という印象でした。パトレイバーの漫画やOVAを一切見たことがない私でも問題なく楽しめたという点が、一つの作品として完成いることの証左ではないかと思います(もちろん、背景を知っているファンが見ればより楽しめるのでしょう)。キャラクターの紹介があるわけではないんですが、この作品を見るうえで必要な情報は何らかの形でしっかり与えられていて、初見の人にもある程度親切。ストーリーもそこまで難解ではなく(レイバーのOSにウイルスが…という設定は、この作品が製作された1989年当時よりも今のほうが理解しやすいのかもしれません)、レイバーによるアクションシーンも燃えますし、何より後藤隊長が格好よい!w 等々、まさに純粋に楽しめる作品でした。そうそう、こういう作品が見たかったんですよね。


さて、その勢いで翌日に劇場版第2作目を見ると…なんじゃこりゃ!w 正直度肝を抜かれました。まず、1ミリたりともエンターテイメントじゃねぇw いや、それはさすがに言いすぎですが、まさかこんな作品だとは想像もしていなかった…。


仮に映画館でこの作品を見ていたとしたら、おそらくは「ポカーン…」という感じだったろうと思います。私が映像作品を見慣れないということもありますが、ストーリーは複雑で、一度見ただけではすんなりと理解できませんでした(大枠はわかるのですが…)。ちなみに、ネタバレ満載のストーリーはこちら。ストーリー読んでからでも問題なく楽しめる気もしますが、見たくない方はご注意を。

ストーリをちょっと見ればわかるとおり、まったくエンタメにはなりえないテーマ、発生する事件も複雑。さらに、見ていない人には冗談のように聞こえると思いますが、物語の中盤あたりでは後藤、荒川という二人のおっさんが「戦争」、「平和」、「都市」等について、延々と会話するシーンが続くんですよw このあたりの内容は、会話として一度聞いただけじゃ把握できないですよね…。正直、これだけ込み入ったストーリーなのであれば、映像よりも小説などに向くのではないか、とも思ってしまいます。まぁ、その点今回はDVDでの鑑賞だったため、わからない場面を繰り返し見ることもできたのですが。


が、そんな分かりにくさという欠点があってもなお、やはり映像であるべき作品だったことは間違いありません。何といっても、自衛隊が東京で「ぶっ放す」あのシーンのインパクトは、絶対に活字では表現できないでしょう。それくらいにショッキングな映像でした。また、東京で自衛隊の戦車などが警備に当たっているところのシーンも、すげぇなぁと思いましたよ。このようなシーンは、まさに映像だからこそあれだけのインパクトを持つんですよね。アニメだからこその表現であり、だからこその傑作なのでしょう。いや、これは完全に参りました。


作品のテーマは、まさに現在進行形で語られる問題を取り上げているんですが、この作品が作られたのが1993年。どれだけ先を見据えた作品を作っているんでしょうか。個人的に印象に残っているのは、日本で戦争が起こっていないのではなく、「日本が戦線の後方に過ぎない」という荒川の発言です。アメリカの「テロとの戦い」に共同歩調をとっている現在において、この言葉はより重みを増しているのではないでしょうか。


そんなわけで、第2作目は「楽しい!」などと言える作品ではなかったですw でも、本当に見てよかったと思います。とりあえず、漫画版のパトレイバーも読んでおきたいなぁ。あと、押井監督が書いた小説版「Tokyo War」も読んでおきたいところ。やはり活字でも読んでおきたい内容です。