「電脳コイル」

電脳コイル 第1巻 通常版 [DVD]


プロモーション映像
http://www.tokuma.co.jp/coil/movie/coil_pv_official_1m.asx


バンダイチャンネルにて視聴。面白かった。映像として見えるファンタジーな部分を、裏でSF的な理屈が支えているという作品。近未来で電脳空間が確立されており、「眼鏡」を通してだけ見ることができる電脳物質やら電脳ペットやらが存在する世界観。そんな電脳空間を舞台に、子供達が探偵したり戦争したり…。しかし、物語の肝になるのが「電脳空間」に隠された謎の部分。この謎が物語を引っ張っていきます。


前半は世界観がなかなか説明されず少しやきもきしたんですが、子供達の戦争ごっこでのアクションシーンで魅せてくれました。そして、中盤以降は一気に物語が加速。優子(ヤサコ)、勇子(イサコ)の二人の「ゆうこ」の謎が解明されていくと同時に、「電脳空間」の様ざまな謎が明かされていく展開が面白く、途中から見るのをやめられなかったです。


「電脳空間」というとやたらとSF的なイメージになりますが、映像を見ても分かるように見た目はかなりファンタジー的。そして実際、この作品は純粋にジュブナイルのファンタジーとしても十分に楽しめると思います。「古い空間」は異世界、そこから発生する「イリーガル」はモンスター…。そういう解釈でも十分に楽しめますし、私もある程度はそういう目で見ていました。しかし、この作品のなにより素晴らしいのは、映像的に見せることを意識しながらも、きちんと背景になる理屈が考えられているところでしょう。だかこその星雲賞なわけですな。作品の雰囲気はまったく異なりますが、見た目ファンタジーで裏にSF的な世界観があるという点では、冲方丁の「ばいばい、アース」も構造は近いかなと思いました。裏の世界観の謎が徐々に解明されていく、という点も同じか。


とはいえ、世界観について作中ですべて説明されるわけではなく、一度見ただけでは分からなかった部分も結構ありました。また、裏の設定の整合性よりもジュブナイルとしての内容を優先させているため、すべての事象をきちんと説明できるというわけでもないでしょう。でも、それはそれで「電脳コイル」という作品としては全然問題にはならないと思います。…ただし、オタク気質的なところからも、やはり後ろの設定はしっかりと知っておきたい!という欲求があるのも事実。こういうサイト(http://www.coil.my-sapporo.com/)で少しずつ知識を補足していこう…。


ちなみに、私のお気に入りのキャラは「ウン…」ではなく「ダイチ!」です。