「とらドラ!」24話と「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」の共通点に関する個人的感想


とにかく、アニメ「とらドラ!」が大好きで、最終回になったら何がしかの感想を書こうと思っています。が、今週もとにかく素晴らしい内容だったことと、あと、少しだけ気がついたことがあったので書かせていただきます。ネタバレしかないので、まだ見ていない方は見ないようにしてください。ちなみに、桜庭一樹氏の「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」を読んでいないかたにとってもネタバレになります。


「ラブコメ」として来るべきところに来た二人に立ちはだかるのが、二人の家族の問題という展開にはしびれるものがあります。あくまでラブコメとしては王道パターンを繰り広げながらも、実はその奥に潜むのはお互いの家族の問題であるというのは、正直タイガー親父が登場するまでまったく気がつきませんでした。で、大河父親騒動に始まり、私が大好きな14話「幸せの手乗りタイガー伝説」でのやっちゃんの「私たち三人家族なんだし〜」に続く展開が、やはり最後になって出てきたかと。ここを無視したエンディングなんて、絶対に迎えられませんよね。


…それはそれとして、何に気づいたかと言いますと、竜児と大河が駆け落ちしようとするシーンで、一度自分の家に帰るところです。これ、桜庭一樹の「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」で、似たシーンがあるんですよ。「砂糖菓子…」で(主役はどちらも女の子ですが)、父親からの虐待をずっと受け続けた海野藻屑に対して、山田なぎさが「逃げようか」と言って、二人が家出を決意するシーンがあるんです。で、家に引き返して家出に必要な荷物をとりに帰るわけですが、最初になぎさの家に帰るときに、二人に以下のようなやり取りがあります。

(なぎさ)「荷物取りにいかなきゃ」
(藻屑)「そうだね、山田なぎさ。だけどなにを持っていくつもり?」
(なぎさ)「さ、財布…?あと、うーん…ドライヤーとか」


それに対して、「とらドラ!」で二人が駆け落ちに際して家に帰るときに、大河が竜児に言う台詞がこれ。

「そうだ、ドライヤー持ってきて」


正直、バッドエンド直行かと思いますわね。いやね、駆け落ちを決めて、そのあとに一度家に帰るというときにすげぇ不吉な予感がしたんですよ。それがなにかと思ったら、「砂糖菓子…」の記憶だったんだと。


ちなみに、「砂糖菓子…」ではなぎさが家に荷物を取りに帰った後、藻屑も荷物を取りに行き、そこで藻屑が父親に殺されてしまいます。だから、「とらドラ!」を見ているときにも、家に帰ったら大河が殺される…わけはないですが、駆け落ちは大人の論理でつぶされるぞ、と思ったわけです。


さらに言えば、竜児と大河が駆け落ちに至る前の展開で、延々と二人の進路について学校の先生に諭されるシーンがあります。竜児は(頭がいいけれど)家庭の事情があるから、大学に進学せずに就職を…って、このあたりも山田なぎさとかなり近い境遇なんですよ。…いや、これは「とらドラ!」と「砂糖菓子…」の展開が似ている、と思って「砂糖菓子…」をちょっと見てみたときに気がついたことですが。


しかし、「砂糖菓子…」ではなぎさと藻屑が「逃げる」という形で家出を考えたのに対して、「とらドラ!」では「駆け落ち」という結論を「逃げ」にしないよう、竜児が考えているようです(大河がヒラヒラの服という子供的な幻想ををバッグに詰め込んでいるにも関わらず!)。それがどのような形になるかは最終回のお楽しみではありますが、「砂糖菓子…」を(おそらくは)踏まえた作品である以上は、「砂糖菓子…」の理論を覆す何かを持ってきてくれると信じています。少なくとも、擬似家族としての竜児、大河、やっちゃんの3人の関係に対して、何がしかの幸福な結論を持ってきてくれるのではないかと…。と、これは私の願望ですな。


以上、つらつらと書いてはいきましたが、この24話の何よりも素晴らしいところは、竜児と大河の今までの関係性を何一つ壊さすことのない告白シーンですよね!上に書いてきた出鱈目な理屈はともかくとして、これについては誰も異論はないのではあるまいか、と思うのです。大河が竜児を川に突き落とすシーンでは爆笑した!私はこの回を100回以上は見れる自信がありますw 最終回手前にしてすげぇいいものを見せてもらいましたよ。私は今回、ほぼ泣きながら視聴していたことを告白いたしますw


追記…


おお、酔っぱらって書いた自分の文章がキモイw 自分の知っている知識の範囲で決め付けるのはよくないですねw より正確に言うと、たけゆゆ先生が「砂糖菓子…」を意識したかどうかはともかく、駆け落ちのシーンにはシンクロするところがあるぞ、ということです。「子供」であることを意識した二人が、大人から「逃げる」という展開ですからね。そこに「ドライヤー」という単語が出てきたので、過剰反応してしまいました。。。


「砂糖菓子…」では、なぎさと藻屑は「大人」から逃げることに失敗しました。しかし、「とらドラ!」では、竜児は逃げるのではなくて立ち向かうことを決意します。「逃げてたら、誕生日が来ても大人になれない」という台詞もありましたね。「砂糖菓子…」とは逆に「立ち向かう」ことを選択した二人が、最後にどのようなやり方を選ぶのか、次回の放送が楽しみでなりません!