古川日出男

「ベルカ、吠えないのか?」

キスカ島に残された4頭の軍用犬北・正勇・勝・エクスプロージョン。彼らを始祖として交配と混血を繰りかえし繁殖した無数のイヌが国境も海峡も思想も越境し、“戦争の世紀=20世紀”を駆けぬける。炸裂する言葉のスピードと熱が衝撃的な、エンタテイメントと純…

「13」

一九六八年、橋本響一は左目だけが色弱という特異な障害をもって生まれた。高い知能指数と驚異的な色彩能力に恵まれた少年響一は、従兄の関口と共にザイールに渡る。そこで彼が出逢ったのは、片足の傭兵「13」を通じ、別人格を育んだ少女ローミだった。驚異…

「沈黙」

“あたし”秋山薫子の母を産んですぐに亡くなった見知らぬ祖母・下岡三稜の実家は、中野区に屋敷を構える大滝家だった。大東亜戦争時、あらゆる声と言語をあやつり固有の顔を持たぬ特務機関員として南方戦を生きた大滝鹿爾。防音された地下室で、ジャケットと…

「アビシニアン」

「あなたには痛みがある」そう言った彼女は字が読めなかった。 ぼくは激痛の発作におびえながらも急いで書かなければならない。 僕と彼女の愛についての文章を。気高く美しい者たちの恋愛小説。 文庫なんで気軽にかった「沈黙/アビシニアン」ですが, 1000円…

古川日出男「アラビアの夜の種族」を読了しました。 私は長い小説が得意ではないのですが,古川氏の著作の中でも特に評判の良い作品なので, いつかは読んでみようと考えていました。 今回,夏季休暇の期間を利用して,何とか読み終えることができました。 …